Blue Moonのブログ

日々の出来事や思う事、などを綴って行くブログです。
また、長年の母の介護での、実際に起こった問題なども、綴って行きます。

「母」被害者の裁判①上階から水漏れ

2007年、上階の人が洗面所の水道を出しっぱなしにされ、水漏れが6階から1階まで行った。
こともあろうに、加害者である6階の人は、その事実を隠した。
謝罪にも一度も来ない。
娘さんが「弁償するので被害リストを作って渡して欲しい」と言うので、リストを作り
渡した途端、加害者が被害者である母を訴えた。
こんなことがあってはならない事だ。


被害リストも、不幸中の幸いで「家電」は一切ない部屋が水漏れ被害にあった。
ほとんどの被害物は「4畳の押し入れの中にあった布団一式(客用二組)」「クローゼットにあった母のコート類」「タンスの中にあった母の衣類」「天井の蛍光灯」「部屋の中に干してあった私のコート」「洗濯し置いてあった衣類」「天袋の中にあった物」「収納庫にあった物」「6畳の部屋の押し入れの母の布団、毛布、こたつ布団、シーツなどの替え、母の下着など」「6畳の天袋の中」だ。
4畳半部屋全体、押し入れの中、天袋の中、収納庫の上下の中、6畳の天袋の中、押し入れの中、が全部水漏れされたのだ。
単価は小さいが、なにせ枚数があるため、被害金額もある。
それでも、総合スーパーなどで、安い値段に見合った金額をリストに書いたのだ。
加害者側は、それでも「被害総額は、払えません」の一点張り。


誰にでも「失敗」や「間違い」はある。
好意で水漏れしたわけではないのであろう。
ただ「加害者側が、水漏れしてる事を隠した事」「一切謝罪が無い事」「認知症である
加害者が一人暮らしを盾にして弁解してる事」に腹が立った。


そして、こちらも、弁護士を探した。
経緯を話し、引き受けてくれると言う。


まずは、当時の経緯をすべて話した。そして、弁護士さんに母の家まで来てもらい
現状を見てもらった。もちろん、写真を撮る。
そして、母本人に話しをしてもらった。
すぐに、弁護士さんは、裁判所にいろいろな手続きをしてくれた。
裁判になる前に「調停」があるそうだ。
弁護士さんと、調停委員さん数名が、事の経緯を話し合いする。
先に、加害者側が、調停員さんたちと話しをするそうだ。


案件を裁判官がすでに見ているらしく、調停員さんは「加害者側には弁償するだけの
財産が無く、高齢者のため、どうにもならない。」と、母側の弁護士に伝えてきた。
母側の弁護士さんは、社会人になってから、司法の勉強をし、弁護士になったそうだ。
なんだか、話しをしてても「押しが弱く」感じた。


1回目の調停。弁護士さんが代行で面談する。
3か月ごとぐらいに一回「調停」が開かれる。
調停員さんが「被害者の衣類は、なぜ、クリーニングに出せないのか?」と聞いてきた。
私は、弁護士さんに「もちろん、最初はクリーニング店に持って行きました。でも、水漏れされたシミは、ワジミと言って、落ちないから受け付けられないと返された。
その後も、数件、クリーニングに持って行ったが、同じ事を言われた。」と言った。
すると「その証拠を出した方が良い」と弁護士さんが言う。
私は、クリーニング店を調べ、まずは、証拠になる、メールで経緯を書いて送った。
やはり、どのクリーニング店も「ワジミは、落ちないので、当店でも受け付けられない」と返事が返ってきた。そのメールをプリントアウトした。
極め付けは「どんなシミでも落としてみせます」とうたってるクリーニング店にも
県外だったが、経緯を書いて、メールで送った。やはり返事は同じだった。
それも、プリントアウトして、弁護士さんに送り、次回の調停の時に見せてもらう事になった。


2回目の調停。弁護士さんが代行する。
相変わらず、基本の「加害者には財産が無いため、弁償金は払えない」は変わらない。
先に加害者側の調停員さんとの面談から始まる。
どうやら、加害者である本人、と、娘が来たそうだ。
杖を突き、歩く事も不自由である様子を、調停員さんに、わざと見せ、温情を受けようと
してるらしいと、弁護士さんは言っていた。
だが、母に言わせれば「お金が無いと言う人が、毎回毎回、週に何回も通院して、その
帰りはいつもタクシーを使ってる。介護タクシーではなく、ふつうのタクシーを。
お母さんの方が、低所得者で、とても介護タクシーでさえも使えないのに。」と。
そして「杖をついてでも、調停に行ける身体なら、なぜ、きちんと謝罪に来ないの?」
と。確かに、誰にでも間違いはある、それが自分がしたことで、他人に迷惑をかけたのなら、きちんと謝罪をするべきだ。杖をついてまで、悪い事をしたと、最初に隠さずに
謝罪に来ていたら、母は許さない人ではない。
しかも、自分の不手際で4階から1階まで、水漏れを起こしておいて、被害者である母を
訴えるなどとは、あまりに酷い。


3回目調停。母が弁護士さんと一緒に面談する。
弁護士さんがいうには「加害者側も本人が来て、どんなに身体が不自由で財産が無いかを
調停員さんに温情してもらように来たのだから、こちらも、お母さんが行った方が良い」と言う。だが、私は反対だった。
相手の加害者は弁護士をつけていない。この費用は、娘である私の夫が立て替えた。
そして、時期が2月で一番寒い時期だ。母の難病と、父を亡くした心労、水漏れの心労がピークになっているため、裁判などに行ったら、母は緊張しすぎて、持病の心臓にも悪い
し、過労で膠原病が悪化してしまのではないかと、とても心配だった。
だが、母は気丈にも、「こちらに非がない事を、きちんと言うべきことは言ってくる」
と、裁判所に行く事を決意したのだ。
裁判所に行くまえに、弁護士さんの事務所に行く道順、裁判所での主張の仕方など
教えた。
当日は、冷たい雨の降る寒い日だった。
無事に、弁護士さんに誘導されながら、言うべき事は言ったそうだ。
高齢になると、話をしているうちに、話の道筋が逸れてしまうらしい。


4回目の調停。私が弁護士さんと一緒に面談する。
とてもきれいな家庭裁判所だった。待合室に招かれ、待たされる。
他の調停をする人々と同じ部屋で待たされる。
順番が来た。
男性の調停員一名、女性の調停員二名だった。
そして、私と弁護士さんとで、小さい調停室で面談をする。
私も裁判所など生まれて初めてだ。多少の緊張はあるが、私も当時の見たままを言う事にしようと思った。
調停員さんたちは、淡々としている。前回、母との面談の事にも触れ話してきた。
当時の事を確認のため、聞かされる。
そして「娘さんとして、加害者に何を言いたいですか?」と聞かれた。
私は「誰にでも間違いはあります。でも、今回の加害者は自分のミスだと分かっていながら、それを隠した。もっと、他の方が聞きに行った時に、自分のミスを認めて、きちんと4階から1階まで、被害を受けた方々に謝罪をするべきだと思う。一番被害を受けたのは
4階の母であり、それなのに、一度も謝罪にも来なかった。
衣類をクリーニングに持って行き、受け付けられないシミだと、弁償してもらえと言われて、何件も掛け合ったが、どこも返答は同じだった。それを加害者と娘さんに言うと
弁償するからリストを作って欲しい、と言われた。こちらも弁償する数が多いため、温情として、低価格での金額を書いて、リストを渡したら、逆に被害者である母を訴えた。
これでは、被害者は泣くには当たり前で、やったもん勝ちなのか?と怒りを覚えた。
唯一、水漏れした部屋には、家電製品が無く、被害総額も多くはならなかったことだけが
救いだった。
これはお金の問題だけではなく、その人が大切にして、二度と同じものは手に入らない。
そういう事も理解して頂きたい。」と言った。
調停員さんたちは、私の話しに、みんなうなずいた。
言うべきことは言った、被害者が泣き寝入りするのが当たり前とはあってはならない。
一応、無事に調停は終了した。


5回目の調停。これは弁護士さんが面会した。
調停員さんたちは、基本相変わらずは変わらない。
だが、提案をしてきたそうだ。
「被害者のお母さんも、共済保険に加入してるのに、なぜ、共済保険から何も降りないのか?一度、その共済保険の規約を見せて欲しい」と言ってきたそうだ。
母の代わりに私が、共済保険に電話をする。だが、この保険屋は、本当にひどいのだった。共済保険側は「裁判になったのなら、こちらが弁償として保険金を支払う必要はない。加害者に弁償金を出してもらえ」と言うのだ。
規約を見たいと言って電話をしても、まるで、共済保険内で「受け付けるな」と回ってるかのように、冷たく「担当者からお話しがあると思います」だけなのだ。
仕方なく、弁護士さに相談。
弁護士さんは裁判所で調停員に相談。
仕方なく、裁判所からと、弁護士さんへの委任状を書き、共済保険に申し入れをした。
すぐに、裁判所は共済保険の担当者に連絡をし「裁判所まで来るように」と言ったそうだ。
そして、2回ほど、裁判所の調停員と、弁護士と、共済保険の担当者(数名)とで面談し、規約にはきちんと、加入者が被害を受けた場合は、その見合う額を補償する、と書いてあると指摘した。
流石裁判所だ。
あとは、弁護士と、共済保険の担当者とのやり取りで、金額を補償する話し合いをするように、と言ったそうだ。


そして、弁護士さんと、共済保険の担当者との話し合いが、数回行われた。


また、この共済保険の担当者数名が、リストの項目の意味やらを細かく聞いてくるのだ。
とたえば「被害者のお母さんの衣類で、靴下の枚数が多すぎるのはなぜ?」とか
母は、膠原病と言う難病から、足先が冷えるため、靴下を何枚も重ね着しないとダメなのだ、だから、当然、枚数も多くなる。その趣旨を伝えた。
だが、今度は「娘さんのコートも被害にあったと書いてあるが、これは支払う必要はない」と言うのだそうだ。弁護士さんが裁判所に相談しに行った。
裁判所の回答は「娘さんの実家で、結婚したとしても、娘の物が実家にあっても、何ら
おかしくない。」と言ったそうだ。


保険屋など、加入する時には、美味しいことを言って加入させて、支払う時になると
なんくせつけて、払わないよにする。特に、この共済保険には、本当に腹ただしい。
何十年も両親は掛けているのに。


結果、母の掛けていた、共済保険に、弁償金ほぼ、支払う事となった。
だが、そこから、弁護士費用を引くと、事実上、請求額の1/3程度になってしまった。
これでも、弁護士さんが「お母さんは低所得者だから、あまり弁護士費用として請求
できないんだよ」と言ってくれたのだ。


最期に、頭に来たのが、加害者が被害者を裁判に訴えたのに、和解となると裁判書類に
訴え出た加害者も、裁判所への書類に記載しなければならない事が沢山あるらしい。
調停員さんが、母の弁護士さんに「この書類、加害者の人が書き方が分からないみたいだから、弁護士さん、代わりに記載してあげてくれないか?」と言ってきたのだ!!
弁護士費用を払ってるのは、被害者であり母。その母を訴えたのは、加害者なのに
結局、加害者は一円も被害者の母に弁償せずに、最後の書類まで、被害に合わせた母の
弁護士に書かせるとは!!なんて「えげつない加害者だ」と思った。


そして、和解の条件に「被害者である母にきちんと謝罪文を書いて」と私は言った。
裁判所の調停員さんたちも、それは当たり前のことだと、加害者に言ったそうだ。


そして、1年少しで、やっと裁判は終わった。


だが、この後、母は心労のため「狭心症」と「肺炎」を起こし、即入院となってしまったのだった。