Blue Moonのブログ

日々の出来事や思う事、などを綴って行くブログです。
また、長年の母の介護での、実際に起こった問題なども、綴って行きます。

「母」父への憎しみ

2015年、9月、母が最期を迎える時、ふと、母の言葉を思い出した。


それは、2002年当時、父が他界して、葬儀も、納骨も無事に終わった。
父親の「遺品」の整理をしないとならない。
だが、そんなことは、いつでも出来る。
一連の行事も終わり、少し休みたいと思った。


だが、母親は父親の遺品を、いそいそと片付け始めた。
遺品を捨てるかどうか、いちいち私に聞いて来るのだ。


ある時「これ、お父さんのスーツ、もう、処分していいわよね。」と。
「これ、お父さんの治療の書類、これも、処分していいわよね。」と。
「これ、お父さんの仕事の道具、これも、もう要らないわよね。」と。
何度も何度も私に聞いてきた時、私はいい加減、母に言った言葉がある。


「お母さんにとって、お父さんの遺品は、どうでもいいのかもしれないけど、私にとっては、父親の大切な遺品なんだから!簡単に捨てないでよっ!」と。


すると、母が怒りをあらわにした。
「お父さんだって、お兄ちゃんが3歳で亡くなった時、遺品を捨てないで、ってお母さん
言ったのに、お父さんは、全部捨てちゃったのよっ!どんなに悔しかったか、あんたには
分からないでしょ!」と泣きだしたのだった。


初めて聞いた話しだった。
確かに、家族が亡くなっても、思い出の品物は大切にしたいと思うであろう。
だが、父親がそんなことを、安易にやったとは思えない。
母はそういうが、父はずっと、私の兄を背負い、一山超えて、兄の大好きだった「電車」を見せに毎日、行っていたのだから。母より父の方が、兄との思い出があるのだ。
兄を愛していなければ、こんなこと、出来るはずもない。
兄が亡くなって、一番、苦しかったのは、父ではないかと思った。
「親より先に、死ぬなんて、親不孝だよ」と、父は生前、ポツリと言ったことがある。
兄の遺品を、全部捨てたのは、父にとって「断腸の思い」だったであろう。
それをしたのも、母のためだったのだと思う。
母は虚弱で、心臓が弱い、母はいつまでも、息子の遺品を持っていては「前に進めない」
と、父は思ったのであろう。


私は、この時の、母が長年「父への憎しみ」があったのだ、と知った。


母が最期の時、私は母に心の中で言った。
「母さん、今でも、父さんを恨んでる?父さんと一緒のお墓に入るのイヤだ?
でも、父さんとは、お兄ちゃんも一緒に居るんだよ?もう、父さんを許してやってね。」
と。